【第6分科会 パネル報告3】要旨

 

政策・被災地・世代・NPOの視点で見つめる女性の活動

――社会へ届く活動を目指して(VOL.6)

司会:渋谷典子

 


女性の政治参画とNPO活動

堀 久美

 

 日本のジェンダー平等実現に向けた課題の一つに、女性の政治参画の遅滞がある。なかでも女性が立候補に至るまでの壁は高い。本報告では、NPO活動への参加経験を経て地方議員となった女性たちへのインタビュー調査の結果から、女性が壁を越えて立候補に至る道筋や意識、さらに女性議員が政治領域を変容させる可能性について検討を行う。

 


「組織の社会的責任として進めるジェンダー平等・ジェンダー主流化への取り組みについて考える

――大学の研究機関を事例として」

中村奈津子

 

 2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に対し、組織の社会的責任(SR)として賛同する動きが自治体や企業、大学などに広がっている。しかし、目標5「ジェンダー平等」への取組みを見ると、ジェンダー主流化が意識されているとは思えないものも多い。本報告では、報告者が関わってきた、大学に付属するジェンダー関連施設の取り組みについてSRの視点から評価し、組織を越えてジェンダー主流化を進める方策を考察する。

 


「デートDV予防教育の普及に向けた生徒向けアンケート調査の分析」

長安めぐみ

 

 4つのNPO団体が高校生に行った予防教育の事前事後のアンケートについて、自然言語処理手法を用いて分析を行った。事前では「デート中のDV」のようなあいまいな表現が、事後では、「恋人どうしでおこる問題」と明確に表現されるなど、各種暴力に対しても認知が鋭くなっていた。また、団体ごとに比較すると出てくるキーワードが微妙に違っており、講座内容はもとより、地域差や講座の環境によっても影響を受けることが明確になった。

 


「コロナ禍における男女共同参画センターの相談室から見える問題

――エッセンシャル・ワークの視点をふまえて」

近藤佳美

 

 男女共同参画センターは、地域における男女共同参画の推進を目的とした拠点施設であり、全国に設置されている。2003年に指定管理者制度が導入されてからは、地域の女性団体がセンターの運営に手を上げるようになり、多くの女性たちが男女共同参画の公的事業を担ってきた。本報告では、報告者が関わる浜松市の男女共同参画センターでのコロナ禍における相談室の状況を取り上げ、行政の受託を受ける団体の一員として考えたことを報告する。